勉強の3つのステップ~子どもを勉強好きにさせるためのコツについて~

No.139更新日付:2024年10月7日

子育てをするにあたってどうしても避けられない話題の一つに「勉強」があります。子どもが幼児から成長して小学校に行くと、日々の授業として「勉強」に触れることになりますし、幼少のころに経験することすべてがある意味では「勉強」といえます。

親としては子どもが勉強好きになってほしいと思うものです。こちらのコラムでは、「勉強」についてその語源の理解から始まり、子どもを「勉強」好きにするためのコツを伝えていきます。ぜひお子さまが小さいうちから読んでいただき、「勉強」への正しい理解を深めて、子どもに接していけるようにしてくださいね。

親がまず「勉強」に対する理解を整理することが大切

これから、少しずつお子さんは小学校で出会う国語や算数、あるいは英語など、いわゆる「お勉強」と呼ばれるジャンルの準備にあたる教材に出会っていくことでしょう。

これまでベビーパークでもお勧めしている、叱らない育児や本性を伸ばす育児を実践してきたお母さんでも、子どもが国語や算数のプリント学習を始めるとついつい問題に正答することを望んでしまい、子どもに過度のプレッシャーをかけてしまいがちなものです。

しかし、子どもにちょうど良い学習量とは、子どもがほんのちょっぴり背伸びをすれば楽にクリアできる量や内容なのです。大きすぎる要求は、お子さんのやる気や自信を失わせ、幼稚園時代という幼い時期から教科学習を嫌いにさせてしまう危険につながります。

そういった教科学習の準備期間に入る前の、今のうちに「勉強」という言葉に対する私たち母親の意識を整理しておきましょう。

「勉強」という言葉と「学習」という言葉の違い

学習の話の前に「勉強」と「学習」という言葉を整理してみましょう。

「勉強」とは「困難なことを無理に頑張っておこなうこと」

「そんな小さいうちからお勉強なんてかわいそう」という声はよく耳にします。

学習とは試験のためのつらい暗記などのことばかりではないはずなのに、やはり「勉強」という言葉から、小学校から大学時代までの座学やテストを思い浮かべる人が圧倒的に多いのでしょうね。

それもそのはず「勉強」という言葉には本来「学習」という意味はありませんでした。「勉強」という言葉を「学習」の意味で使うようになったのは、どうも明治時代以降らしいのです。

「勉強」という言葉は紀元前の中国の書物に登場しますからかなり古くからあるようです。本来の意味は文字通り「強いて勉める」つまり「困難なことを無理に頑張っておこなう」ことです。

「学習」とは「強い熱意をもって学ぶ事に勉めていること」

いっぽう「学習」の英訳はstudyですね。この語源はラテン語のストゥディウム(studium)です。そしてストゥディウム本来の意味とは「情熱・熱意」なのです。この現在分詞形(~している状態)がストゥデンス(studens)でありstudent(生徒)の語源となりました。言いかえれば「情熱を傾けている人」となるでしょう。

つまり「学習」とは「強い熱意・情熱をもって学ぶ事に勉めている」事だといえます。

幼児にとって「遊びは学び」「学びは遊び」

ちなみに日本では「勉強」の反対語は「遊び」という印象が強いかもしれません。しかし英語ではどうでしょう?

遊びの英訳はplayですね。Playはスポーツや楽器の演奏などにも使われます。Playから浮かぶイメージはスポーツや音楽、または芸術やクリエイティブな活動に夢中になって没頭する姿勢ではないでしょうか。

そう考えると「study」と「play」は反対語どころか、類義語のように思えます。幼児にとって本来「遊びは学び」「学びは遊び」なのです。

「学ぶ」ということは本来「知識や技術や習慣を新しく身につける」という事。つまり「自分自身の能力をよりよく向上させる」という事です。

昨日までの自分にできなかった事ができるようになるのです。昨日まで知らなかった新しい世界が開かれるのです。それはなんとワクワクする楽しい事でしょう! ですから、幼い子どもは本当に、学ぶことが大好きです。

「勉強・学習」の3ステップ

では次に「勉強」というものをもっと細かく分析してみましょう。

1.新しい事を知る

まず最初に、新しく習得したい事柄に対して「知る」必要があります。ここはとても面白い部分です。新しいことを知るとき、知的好奇心が満たされるものです。

2.知った事を身につけるために練習する

次に、知ったことをいつでも使えるように「身につける」ステップがあります。知ったことを「覚えたり」「より深く理解したり」「技能を高めたり」する必要があります。ここがいわゆる「練習」「お稽古」にあたる部分です。

これは時にはつらい事もあるでしょう。努力や苦労を必要とする部分もあるでしょう。そしてこの部分のことを指して「お勉強」と言っていることが多いのではないでしょうか?だから「小さいうちからお勉強させてかわいそう」なってしまうのですね。

3.身につけた事を活用する

最後に、練習によって身につけた能力を使って自分なりに応用し、新しい表現や概念や製品や仕組みを創造する、あるいは他者と試合などで技を競い合って楽しんだり互いを向上させたりする。という段階があります。これもとても楽しいうえに、非常に文化的価値のある素敵な事です。

以上をまとめると「勉強」とは常に
①新しい事を知る
②知った事を身につけるために練習する
③身につけた事を活用する

という大きな3つのステップからできている事がわかります。

「練習=勉強」と子どもに認識させないことが大切

練習・・・というものは基本的に「あまり楽しいものではありません」。なぜなら「上手にできない事を何度もくり返す」のですから。ピアノは好きでも練習は嫌い。バイオリンが好きでも練習は嫌い。水泳は好きでも練習は嫌い。そんなのは当たり前のことです。目の前の地道なレッスンを何回もくり返すことは、面倒くさくてつまらないと感じるのが当然です。

ですから肝心なことは、練習=お勉強だと思い込ませないことです。

子どもはこれから知育プリントに触れる機会も増えてくると思いますが、決してプリント=お勉強という思い込みの図式をインプットしないことが肝心です。「学習」の本来の目的とは「昨日までの自分よりできることが少し増えるようになること」であってとても楽しいことなのです。

子どもを勉強嫌いにさせない3つのコツ

子どもが新しいことを知ることはすべて学びです。幼い頃から、勉強嫌いにさせないコツをまとめてみますので、ぜひ実践なさってみてくださいね。

1.子どもに「その遊びは学びである」と語り聞かせる

普段から子どもが遊んでいる時にも、その遊びは学びなのだ、お勉強なのだ、と語り聞かせましょう。例えばブロックで何か作った時などにも「いいお勉強ができたね」と褒めましょう。お勉強とは「新しいことを知ること」「新しいことができるようになること」「何かを自分で作ること」の意味だと意識づけていきましょう。

2.地道な練習には「お楽しみ」を作ってあげる

地道な練習の合間には、同じジャンルの事柄でお楽しみを入れましょう。ピアノのお稽古などは、時折おじい様おばあ様に聴いていただき、褒めていただくなどすると効果的です。

3.「勉強なんてかわいそう」と言わない

大人が周囲で「小さい頃から勉強なんてかわいそう」などと言わないように気を付けましょう。つぶやけば、子どもは間違いなく「そうか、自分はかわいそうなことをやらされているのか」と考え、それを面倒くさい練習から逃げ出す口実に使おうとします。お友達や親戚にもうかつな発言をしないでいただけるように、日頃から理解を得られるよう努力しておきましょう。

まとめ:「勉強」とは楽しいものであると伝えることが大切

いかがでしたでしょうか?

色々な社会経験をした大人である両親がつい思ってしまう「勉強」と、子どもがこれから向かい合っていく「勉強」には実際は大きな隔たりがあるもので、子どもにとって「勉強」は新しい物事を知り、身につけ、活用していく、楽しくワクワクするものです。

もちろん、身につけるための練習などつらい瞬間もありますが、基本的には子どもの自らの欲求に応える楽しいことであると親の私たちが理解して、子どもの欲求に素直に応えられるようにすることで、子どもは勉強好きになって自らどんどん進んでいきます。

ぜひ子どもには「勉強」の意義を正しく認識させて、自ら大きく成長していけるように手助けしてあげてくださいね。

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