子どもの運動神経を飛躍的に伸ばすことと脳の発達について

No.85更新日付:2024年2月13日

脳の発達に運動神経や身体能力が及ぼす影響は大きいと、近年の脳科学分野ではよくいわれています。人間の脳が大きく発達したのはより複雑に身体を動かせるようになるためだった、という学説も近年では見られます。

つまり、6歳までに90%完成するといわれる脳を効率的に発達させるためには、幼児期の運動神経の発達が非常に大切といえます。

このコラムでは、6歳までの子どもに日々の遊びのなかでおこなってほしい簡単な運動遊び、なかでも手を使った遊びについて具体的に解説しています。ぜひ最後まで読んでわが子に実践してあげてくださいね。

6歳までに身体能力を伸ばすことで脳も発達する

上述のように0歳から6歳の間に子どもの身体能力を伸ばすことが、人間が本来持っている能力を豊かに引き出すための重要な方法の一つです。

その中でも、身体能力の成長が脳の発達につながる事を顕著に示す大切な取り組みである「モンキーバー(うんてい)」は、一般的には平均6歳で獲得できる能力ですが、日本国内においてベビーパーク教室で学びご家庭でプログラムをおこなうならば、普通の6歳レベルの身体能力におよそ4歳で到達してしまうはずです。

この時にモンキーバー、すなわち雲梯(うんてい)ができるようになるということは「脳の利き側、つまり優勢半球が確立し、対応する側の手足や目を高度に使う機能が完成する」「右利きや左利きが確定する」ということなのです。

今回は特に、手や指先を育てることの重要性についてご紹介していきます。

人間固有の6つの能力

私達は「自分にとって当たり前にできること」については、つい「できるのが当たり前」だと勘違いしてしまいます。しかし実際には、私達が何気なくおこなっている日々の営みは「奇跡的」なすばらしい能力の連続なのです。

人間を他の動物と一線を画す存在にさせているのは、実は「人間固有の6つの能力」があるからです。これはすべて【大脳新皮質】による能力です。つまり下記の6つの能力で人類の本質を説明することができるのです。

①運動能力(歩く・走る・跳ぶ・逆立ち歩きなど)
②手を使う能力
③言語能力(話す)
④視覚能力(文字など抽象的概念の理解)
⑤聴覚能力(言葉や音楽など抽象的概念の理解)
⑥触覚能力(触れた感触だけでの理解・識別)


実は6つの能力があるのは人間のみだけで、6歳頃までに7つの発達段階を経て脳が完成します。また、適切な環境さえ与えてあげれば子どもはより速いスピードで発達段階を進むことが可能であり、私たちが「常識」「平均」だと思っている能力よりも人間の可能性をまだまだ引き出してくれることがわかっています。

手の機能を育てることがもっとも脳の発達につながる

6つの能力は独立した別個のものですが、相互に深い関連性があります。一つの機能が高まると他の機能もある程度高まります。

脳の成長スピードは胎児の間が最も驚異的であり、誕生後30日くらいまで目覚ましい成長は続きます。それから6歳までの間、少しずつ遅くなりながらもまだまだかなりの速さで成長します。

そして6歳以降は成長が極めて遅くなります。子どもにとって「脳をより良く使う習慣を始める」のが1ヶ月でも1週間でも1日でも早い方がよいことは言うまでもありません。

そして6つの固有能力のうち、幼い子どもが脳をよりよく使うには「運動能力」を育てることがもっとも近道なのです。運動機能は「運動全般」「手を使う能力」「バランス感覚」の3つの領域に分けて考えることができます。その中の「手を使う能力」を積極的に育てることによって脳の重要な回路が様々に育っていきます

「手を使う能力」の育て方

それでは、ここからは「手を使う能力」を鍛えるための具体的な方法を見ていきましょう。

1.「ぶら下がり」の練習をしましょう

◆第1目標… 子どもにお母さんの指を鉄棒代わりに握らせて、自分の体重の半分を支えながら(床にお尻がついた状態)、親の指に10秒間ぶらさがれること。

必ず安全な床な上、あるいはベビーベットなど確実に安全な状態で行ってください。
この運動は延髄の把握反射を活用して握る力を発達させています。

◆第2目標… 子どもがお母さんの指に自力で2秒以上ぶら下がる事ができること。

今度は、完全に子どもがお尻をつかずに自力でぶら下がっている状態です。
この運動は、脳の「意識的に自ら手を離す能力」を育てています。例えば、熱いものに触れた瞬間に「熱い!」と思ったら、パッと手を離す。そのような「危険を察知した時に敏感に素早く手を離す能力」となっていきます。第1目標の自らしっかり手をにぎる能力が達成されていないうちは育ちません。

◆第3目標… 子どもが丈夫な細い棒に2秒以上ぶらさがる事ができること。

親の指を卒業して、丈夫な細い木の棒や金属の棒を使ってみましょう。乳幼児用の室内鉄棒が最適です。

◆第4目標… 親の指や棒にぶらさがり前後にスイングする。1回20秒程度にしてください。

目的を持って何かをつかもうとする力です。脳が発達しても肩と肘の筋肉が十分に発達しないと成長の先へ進めません。

2.「ものをつまむ機会」を可能な限り与えましょう

◆第1目標… 指先を使わず手全体で握ること。

子どもが意図的に拾いあげ目的をもって使えるような品物をたくさん考え与えましょう。
(例:タイコのバチ、車や電車のオモチャ、人形、つまみ付きのパズル…)

◆第2目標… 親指と人差し指の腹を合わせられるようになり、かなり小さいものも指でつまめるようになる(旧皮質・発生期皮質の領域)

誤飲に十分に気をつけながら、安全で指先でつまめる様々な品物を考え与えましょう。
この取り組みをおこなう時には必ず子どもから目を離さないことです。

口に入れる前に、手指のマッサージをするように優しくつかんでいる手をなでるように手を開かせてつまんでいるものを取り上げましょう。誤飲が危ないと思うときには、気持ちを母親の顔の方に引きつけておきながら、手から取りあげてしまいましょう。

あるいは、拾っては「ちょうだい」「ありがとう」で「置く」という遊びができるのであれば、それを誘導してもいいですね。

◆第3目標… 両手それぞれで小さなものを同時につまむ(旧皮質・原始皮質の領域)

最初のうちは、片手でつまむしかできないのですが、両方の手でもつまめるようになります。これは、脳の領域がさらにステップアップしたことになります。

◆第4目標… 片方の手により高度な役割を与えながら、両手を使う(新皮質・初期皮質)

片手でコップを持ちもう片方の手で水差しから注ぐ、片手で紙を持ちもう片方でハサミを使って切る、小さい穴の空いた品物に細いヒモを通す、ペンのキャップを引っ張って外しまた元に戻す、ボタンを外したりはめたりする、ネジ式のビンの蓋をひねって開けたり閉めたりする、パンにバターを塗る、食器を洗う、などいろいろ考えてみて下さい。

◆第5目標・・・利き手が決まり、十分に「読めるレベル」の文字が書ける(新皮質・成熟皮質・平均的には6歳の能力です)

まとめ:子どもの脳が完成する前に身体能力を伸ばしてあげよう

今回ご紹介した中で、「わが子に今、できる!」と思われるものを選択してどんどんおこなってください。そして取り組んだ後には、必ず子どもをたっぷり褒めてあげてくださいね。そしていつも「子どもがやめたくなる前に切り上げること」です。「まだもう少しやりたいな」と思っている程度でやめておくことが継続のコツです。

子どもの脳が完成するまでに、運動神経をどれだけ適切に育ててあげられるか?が、子どもへのすばらしい一生のプレゼントになるのです。ぜひ親子で楽しみつつ、子どもの脳を育ててあげてくださいね。

コラムNo.132「子どもの運動神経を飛躍的に伸ばすには?~実践編①:ぶら下がりから直立歩行まで」では、乳幼児期におこなっておくべき運動プログラムについてより具体的にまとめています。よかったらあわせて読んでみてくださいね。

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脳の発達に運動神経や身体能力が及ぼす影響は大きいと、近年の脳科学分野ではよくいわれています。人間の脳が大きく発達したのはより複雑に身体を動かせるようになるためだった、という学説も近年では見られます。つまり、6歳までに90%完成するといわれる脳を効率的に発達させるためには、幼児期の運動神経の発達が非常に大切といえます。コラムNo.85「子どもの運動神経を飛躍的に伸ばすことと脳の発達について」では、6歳までに90%完成するといわれる脳を効率的に発達させるためには、幼児期の運動神経の発達が非常に大切であるということを、理論の面からご説明いたしました。こちらの記事ではさらに一歩に進んで、おうちだけでなく公園や外でも子どもと一緒にできる身体能力を育てるプログラムについてご紹介していきます。

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