幼児教育とは?役割やポイントを紹介

No.02更新日付:2025年12月15日

幼児教育という言葉について、お子さんがいる方なら一度は聞いたことがあるかもしれません。幼児教育はお子さんの心や身体を成長させ、生きる力を養う教育のことを指します。脳の発達が活発な時期にさまざまな体験をすることで、人間としての基礎を整えることを目的としています。

今回は幼児教育がどんな教育なのか、またどんな役割があり、どのようなメソッドがあるのかを解説します。幼児教育を取り入れるときのポイントも紹介しますので、お子さんに幼児教育を考えているパパ・ママは必見です。

幼児教育とは?

幼児教育就学前の子どもを対象とした教育です。幼児という言葉は乳時期が終わる1歳頃から小学校に入る前を意味しますが、0歳からでも受けられる幼児教育もあります。

教育と聞くと学校で受けるものというイメージがあるかもしれませんが、幼児教育は必ずしも学校にいく必要はありません。教育メソッド自体はあるものの、幼児教室で受けられるものもあれば、教材を使って自宅で受けられるものもあります。また広い意味では、家庭や地域で学ぶ生活全般の知識や能力も幼児教育に含まれているのです。

幼児教育は教育という言葉がついていますが、学校で勉強して伸ばす学力を学ぶ教育ではありません。脳の発達が活発な時期にさまざまな刺激を与えることで、生きる力や興味関心を伸ばすのが幼児教育です。今後生きていくうえで人間としての基礎になり、大きな影響を与える能力を伸ばしてあげる教育のため、就学前の子どもに幼児教育を受けさせる親御さんは増えています。

早期教育との違い

幼児教育=お受験のための勉強と思っている方もいるかもしれませんが、それは違います。お受験のために必要なスポーツや音楽、絵画や学力といった教育は、早期教育と呼ばれるものです。早期教育には小学校入学前に先取りして技能や学力を身につける目的があります。

一方、幼児教育は、先ほどもお話ししたように生きていくうえでの土台を育てる教育です。幼児教育を行うことによって、小学校に入学してから学習するうえでの基礎を身につけられますが、学力を伸ばしたり、技能を習得したりというような学びは行いません。好奇心を引き出したり、思考力を身につけたりして、お子さんの可能性を広げてあげるのが幼児教育です。

幼児教育の役割

生きる力を養い、子どもの可能性を広げることを目的としたものが幼児教育です。具体的にはどのような役割を持っているのでしょうか。幼児教育を受けさせるか考えている方は、どんな効果が期待できるのかを知っておきましょう。

後伸びする力を育てる

幼児教育では子どもの想像力や思考力、判断力、集中力、感性などを育てながら、興味関心を引き出す役割があります。これらの能力は生きていくために必要な能力ですし、興味関心を持つことは将来の可能性を広げる意味がありますが、すぐに効果が発揮されるものではありません。

しかし幼少期に生きていくために必要な能力を身につけ、好奇心が持てるものを見つけておくことは、成長していくにつれて確かな意味を持ちます。後伸びする力は一つに限定できるものではありませんが、例えば幼児教育で身につけた思考力は、学校生活や社会生活のなかでトラブルを未然に回避できる力になります。また興味関心を持ったものに対して疑問を持つという力を身につけておけば、将来興味を持ったものを深く追及することが自然とできるようになるのです。

このように幼児教育で身につけた能力は、将来後伸びする力を育てるという役割を持っています。

豊かな人間性を培う

幼児教育ではさまざまなアプローチで、子どもの思考力想像力判断力集中力感性などを育てます。脳の成長が著しい幼児期に刺激を与えることで、自分で考えて行動できる力や、相手に自分を置き換えて考えられる他人を思いやる心、一つの物事に集中できる力など、豊かな人間性を培うことができます。

人間性は幼児期を過ぎてさまざまなことを経験するなかで身につくものもありますが、幼児期のうちに身につけた能力や感性も大きく影響するものです。幼児教育を通して楽しみながら豊かな人間性を育むことができます。

好奇心や探求心を養う

幼児期は周りのあるあらゆる物や人に好奇心を持ち、それについてもっと知りたいと思う探究心を持っています。普段の生活のなかでも興味関心を持てるものはいくらでもありますが、幼児教育では日常生活では触れる機会の少ないものにも触れさせて、好奇心を伸ばすという役割もあるのです。

好奇心を持てば持つほど、それについて知りたいという探究心が湧き出てきます。好奇心や探究心を子どもの頃に養っておくことは、成長してからも広い視野を持ち、自分で開拓していける能力につながるのです。

考える力を伸ばして学習の基礎を作る

幼児教育では読み聞かせやごっこ遊び、音楽や体を動かすことを通して、考える力も育てます。考える力は生きていくうえで必ず必要な能力ですが、小学校に入学して学習するうえでも欠かせない能力です。幼児教育は直接的に学力を身につけるものではありませんが、小学校に入って学習するうえでの基礎づくりが自然にできる教育でもあります。もちろん中学校、高校、大学と進学していくうえでも考える力は非常に重要です。

また、考える力以外に集中力も育てますので、集中して勉強できる力を自然と身につけることもできます。学校生活に必要な社会性や忍耐力、判断力も身につくので、小学校に入学してからも、スムーズに生活できるようになるでしょう。

幼児教育のメソッド

幼児教育といっても一つで括れるわけではなく、いくつかのメソッドがあります。有名なメソッドの多くは海外で生まれ、日本に持ち込まれたものです。日本でも取り入れている教室や教材が多い4つのメソッドを紹介します。

モンテッソーリ教育

マリア・モンテッソーリという教育家で、ローマ大学の医学博士が100年以上も前に唱えたのがモンテッソーリ教育です。幼児教育としてはかなりポピュラーなメソッドとして知られています。日本で販売されている知育玩具にもモンテッソーリ教育のメソッドを取り入れたものは多いです。

子どもは自らで自立のために成長する力を持っているということを軸とし、子どもが自由に選択し、そのなかで自主的に能力を身につけることを大切にするメソッドです。教育を与える側は環境を整えてサポートをおこない、発達段階に合わせて環境づくりや教材を用意します。3歳までを前期、3歳から6歳を後期として幼児教育を行うのが特徴です。

シュタイナー教育

ドイツ人のルドルフ・シュタイナーが生み出した教育メソッドであるシュタイナー教育。1919年にドイツで最初の学校が設立されました。0歳から21歳までを7年区切りで分け、それぞれの発達に合わせて、子どもたちの個性を大切にしながら自由に生きられる人間として必要な力を養うために効果的な教育を行います。

シュタイナー教育では幼児期に健やかな身体を育てることに重点を置き、身体を使ったアクティビティをたくさん取り入れているのが特徴です。また言葉を使わず真似をすることで能力を身につけさせるのも特徴で、さまざまな体験をさせながら自由な意思を育てます。

レッジョ・エミリア・アプローチ教育

レッジョ・エミリア・アプローチ教育はイタリアにあるレッジョ・エミリアという街で生まれた教育メソッドです。子どもがさまざまな体験をするなかで、自主的に能力を身につけられるように促す教育法で、アメリカでは多くのプリスクールでこのメソッドが取り入れられています。決まったカリキュラムはなく、子どもたちが自由に選択しながら社会性を身につける教育です。

思考力やコミュニケーション能力を身につけることに重点を置き、その中で自主性と協調性を同時に育んでいきます。周りと話し合いを持ちながら自分で判断するという経験も行っていくため、社会性判断力も身につくでしょう。

ピラミッドメソッド

教育心理学者が中心となって生み出したピラミッドメソッドは、オランダ政府評価機構Citoが唱えた教育メソッドです。オランダは「世界でもっとも子どもの幸福度が高い国」として知られており、子どもたちが安心を感じられる環境で豊かな心と自分で判断する能力を育てます

子どものやる気」「保育者の主体性」「寄り添う」「距離を置く」を基礎としており、この4つで構成されるピラミッドで子どもの健やかな心と身体を育てることからピラミッドという名前がついています。自主性や決断力、自己解決力、想像力などをバランスよく育てることを目的としたメソッドです。

幼児教育のポイント

前章で紹介した以外にもさまざまな幼児教育メソッドがありますが、どんな幼児教育を行う場合でも共通して押さえておきたいポイントがあります。お子さんの能力を効果的に伸ばして上げるために、以下のポイントはしっかり把握しておきましょう。

年齢に合わせて取り入れる

同じ幼児でも1歳と6歳ではできることが全く異なります。幼児教育を取り入れるときは、必ず年齢に合わせて取り入れることが重要です。いくら子どもの成長にいいと言われる教育でも、発達段階に合っていなければなんの意味もありません

幼児教室に通う場合は年齢に合わせた内容で学べるように設定されていますが、自宅で教材や知育玩具を使って幼児教育をする場合は、必ず年齢に合ったものを選んであげましょう。

子どもが楽しんで取り組めるようにする

幼児教育は子どもが楽しんで取り組めないと意味がありません。幼児教育の目的の一つに自主性を育てるというものがありますが、自主性は楽しみながら取り組むことで育つ能力です。また楽しめなければ集中力も身につきません。

子どもが興味を持っていないにもかかわらず親御さんが押し付けてしまうと、苦手意識を持ち、やる気を持てない子どもに育ってしまいます。

親の期待を背負わせない

お金をかけて幼児教育を行うとなると、期待してしまう親御さんは多いです。しかし期待が強すぎるばかりに子どもに押し付けてしまうことがあります。また親の期待を子どもが感じ取ると、それをプレッシャーに感じたり、親の顔色を見て行動したり可能性もあるのです。

お子さんに期待してしまう気持ちは仕方がない部分がありますが、まずは伸び伸びと楽しめているかに焦点を置いて、お子さんの気持ちを尊重してあげましょう。

【まとめ】幼児教育で重視されるのは子ども一人一人にふさわしい発達

幼児教育にはさまざまなメソッドがありますが、どの教育メソッドでも大切にしているのは一人一人の個性を大切にして、自主性を伸ばしてあげることです。個性を重視した教育の機会を与えてあげることで、生きる力を養い幅広い興味関心を抱けるようになります。

お子さんに幼児教育をさせてあげるのであれば、その点をしっかり理解して、お子さんの気持ちを優先したうえで教育の機会を与えてあげましょう。

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叱らなくてもすむ育児
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