モロー反射って何?どう対応したらいいの?

No.14更新日付:2023年3月12日
赤ちゃんの時期によくするといわれる「モロー反射」。言葉は聞いたことがあるけど、実際はどんな動きを指すのかよくわからない方も多いと思います。モロー反射とはどんな動きで、どんな時期に起こるのでしょうか。このコラムでは、モロー反射でよくみられる動作や、よくみられる時期などについて解説します。
一般的にモロー反射が起こるのは、通常生後4か月ぐらいまでの間といわれています。赤ちゃんによって個人差があるものの、生後半年も経てば自然としなくなることが多いです。大きな音や光、振動、急な体の傾きなどを感じたとき、反射的に抱っこをせがむような動作「抱きつき反射」を起こします。生後数か月の赤ちゃんは外部からの刺激に敏感であるため、ごくごく自然なことなのです。
ここからはより詳細に解説していきます。「モロー反射」という言葉自体は聞いたことはあるけれど、具体的にどんな動きなのかは知らない方も多いと思います。そのままだと、いざ実際にモロー反射を目の当たりにして「病気なのかな?」「動きが激しくて心配…」と不安になることがあると思います。モロー反射についてひとつひとつ学んでいきましょう。
モロー反射とは、乳幼児に見られる外部からの刺激によって起きる、生まれつきの正常な反応のことです。脳幹レベルでの反射のひとつであるといわれていて、別名「抱きつき反射」ともいわれます。例えば、赤ちゃんのそばで大きな音を立てた際に乳児が両手を広げて抱きつくような反射動作をあらわします。まるで驚いたかのように手足をビクッと痙攣させたあとに、バンザイのような両腕の動きをするのが特徴です。
モロー反射はオーストリアの小児科医エルンスト・モローによって発見されました。
乳幼児の頭部を30度ほど持ち上げた後、急に支えをはずし、頭を落下させたり、腕を外転・伸展させ指を広げたり、内転・屈曲させ抱きつくような動きを見せます。
このような動きは、母親から落下しそうになった時、近くにあるものにつかまる事で、落下の危険を回避するという利点があると考えられています。
出生直後より出現し、通常は生後4ヶ月頃には消失します。モロー反射の消失によって、首の据わりや首の運動が可能となるとされます。モロー反射の消失が遅れることがあったり、逆に本来あって良いはずの時機に反射の強弱がある場合、何らかの障害がある可能性もあるので小児科に相談してみましょう。
ただ、個人差があるものの、生後半年も経てば自然としなくなることが多いので、あまり深く考えこむ必要はありません。
とはいえ、なかなかモロー反射がなくならい時など心配になってしまうパパ・ママも多いと思います。
基本的には気にしすぎないほうがよいですが、それでも気になるようなら日々の赤ちゃんのモロー反射の様子を記録して、検診の際などに主治医の先生に相談してみましょう。また、他にできうる心がけや対処法は以下になります。
モロー反射は、赤ちゃんに与えられるあらゆる刺激が原因で起こるものです。そのため、赤ちゃんがいる環境を見直すことでモロー反射の激しさを抑えられる可能性があります。赤ちゃん自体に異常があるわけではなく、大人が気付かないだけで、周囲の環境がうるさかったり、部屋が明るすぎたり、エアコンが効きすぎていたりすることが多いです。一度、赤ちゃんがいる部屋の環境を見直すことをおすすめします。
さらに、赤ちゃんが常にリラックスした状態で過ごせるように、おくるみで手足を包んであげたり、スキンシップを念入りにしてあげたりすることが大切です。ぜひ試してみましょう。
「モロー反射が長引くから病気かも…?」と心配する方も多いですが、一概にそうとは言いきれません。発育には個人差があるので、そのような理由で長引いているだけという可能性も大いにあります。
ただし、モロー反射があまりない赤ちゃんは、「核黄疸」という症状が出ている可能性があります。「核黄疸」は肌が黄色っぽくなる黄疸の一種です。この黄色の色素が脳に沈着すると、脳や運動機能に影響を与える症状なので、一度かかりつけのお医者さんに診てもらったほうが良いでしょう。
モロー反射は、赤ちゃんの中枢神経が正常に機能しているかどうかを見る赤ちゃん独特の反射反応です。頻度や時期は本当に個人差が大きいものなのですが、赤ちゃんならではの可愛らしい動作を見過ごさずに過ごせると良いですよね。
この章では、モロー反射もその一種である「原始反射」の種類についてご説明します。赤ちゃんの自己防衛本能ともいわれていますので、事前に原始反射の種類を知っておくと、パパ・ママがより安心して育児ができるのではないでしょうか。
モロー反射のように、赤ちゃんが生まれたときから備えている反射的な運動のことを「原始反射」といいます。赤ちゃんが外からの危険から身を守り、また運動機能の発達のためになくてはならない運動です。
原始反射は一般的には生後0~3ヶ月の時期に活発にあらわれ、生後4~5ヶ月を目安に徐々に消えていきます。原始反射が消失することで、自分の意志で身体を動かすことができるようになっていきます。
原始反射は脳幹が主となってはたらく動きです。そのため原始反射の出現と消失を確認することで、脳や脊髄をつかさどる中枢神経の発達が順調であるかを確認する一つの指標となります。
把握反射とは、手や足のひらに他の人の指などが触れた時、反射的に握りしめる動きを示します。
原始反射は足や指、口など赤ちゃんの身体のさまざまな部位で見られます。既に挙げたモロー反射の他にも、以下のような原始反射があります。
◇吸てつ反射
赤ちゃんが口に入ったものに反射的に吸いつく反射
◇バビンスキー反射
足の裏をかかとからつま先に向けてゆっくりこすると、足指が開く反射
◇自動歩行
赤ちゃんを立たせるように支え足を床につけてあげると、まるで歩いているかのように足を交互に屈伸させる反射
モロー反射をはじめとする原始反射は、乳幼児健診にて確認されます。それぞれの病院や保健所などで差はありますが、おおむね3、4ヶ月健診まではモロー反射を含む原始反射が正常に見られるかといった検査項目があるそうです。
必ずしもモロー反射が長く続く=疾患がある、というわけではありません。しかし、モロー反射をはじめとする原始反射が長く続けば続くほど何らかの問題がある可能性が高まります。いざというときのために、日頃から子どもの動作をよく観察したり、場合によっては記録したりすることが大切です。
多くのパパ・ママが子どものモロー反射に不安を感じることとして、モロー反射が激しく子どもが泣きだすというケースが挙げられます。この場合、どう対応したら良いのでしょうか。
よくある現象としては、刺激に対して大きな動きで反応した赤ちゃんが、自分の動きに対してびっくりしてしまいその衝撃で泣く、というメカニズムで起こります。モロー反射は刺激に対する無意識の反応のため、パパ・ママにできることは赤ちゃんに不要な刺激を与えないように環境を整えてあげることです。
●大きな音をなるべく立てない
●赤ちゃんが極端な熱さ、冷たさに触れないようにする
(冷たい風や指でも赤ちゃんはびっくりしてモロー反射を起こすことがあります)
●こまめなスキンシップで赤ちゃんを安心させてあげる
また、寝かしつけの際に赤ちゃんがモロー反射を起こし、なかなか寝てくれなくて悩んでいる、というパパ・ママもいるかもしれません。この場合、寝かしつけるとき、特に赤ちゃんを抱っこしている腕の中からベッドへ移すときがポイントです。赤ちゃんにとって刺激となる要因をできるだけ少なくする、以下のような工夫をすることが大切です。
●ベビーベッド・赤ちゃんの寝具を、抱っこされている腕の中の体温くらいにあたためておく
●抱っこから腕を抜くときに、赤ちゃんの首の角度や体勢が大きく変わらないようにする
●扇風機の風やヒーターの光が赤ちゃんに直接当たらないようにする
このように、モロー反射が激しく、一度起こるとしばらく泣き続けてしまうなどという場合、まずは子どもに余計な刺激を与えないような環境づくりをすることが重要です。また、モロー反射から泣きだす子どもの大半はびっくりして泣いています。パパ・ママがこまめにスキンシップをとることで赤ちゃんを安心させてあげることも一つの方法です。
モロー反射とは0~4ヶ月で見られる原始反射の一種です。大きな刺激を受けた時に身体をびくっとさせ、両手を広げてしがみつくようにする動作は赤ちゃんならではのとても可愛らしいものです。
また、ただかわいい動作であるだけでなく、モロー反射をはじめとした原始反射は子どもの発達状態の一つの重要な指標となります。原始反射の始まりと終わりの時期や動作の特徴などで、子どもの発達状態に問題がないか気づくきっかけになることがあります。
実際、パパ・ママにとって、モロー反射と他の疾患の症状を区別することは難しいケースが多いです。モロー反射などの原始反射を通して、少しでも不安を感じたときは乳幼児健診の際に保健士や医師に相談したり、かかりつけの小児科へ相談したりすることをおすすめします。
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