幼児教育に英語は必要?メリットとデメリットや意義について

No.61更新日付:2023年3月12日
急激に進む社会の国際化のなかで英語教育の重要性が問われて久しいですが、いつから英語を始めるべきかについては諸説あるのが実情です。このコラムを読んでいる方にも、幼児教育に英語は必要なのだろうか?と迷っている人もたくさんいらっしゃると思います。
今回は幼児に対して英語教育が与える影響だけでなく、英語を学ぶ意義、これからのグローバル社会への展望など、様々な観点から幼児教育を見つめることで、皆さんと幼児教育における英語の必要性について考えていきたいと思います。
一般的に「幼児」とは、乳児期を過ぎた1歳から、小学校入学前の6歳までの時期をさします。「教育」というと、幼稚園や保育所、習い事などが思い浮かぶかもしれません。しかし、幼児教育の概念には、それらの施設における教育に加え、家庭や地域社会における教育など幼児の生活全般における教育が含まれます。
また、この時期には大脳神経系の約80%が出来上がるとされており、言語能力や身体能力が著しく発達し、コミュニケーション能力や社会性を身につけ始めます。そのためこの時期に受ける教育は、生涯にわたる人格や能力の基礎、学習の土台となるためとても重要です。
「三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、幼児期にバランスの取れた人間形成の基礎を身につけることは、その後の健やかな成長、さらには将来に大きな影響を与えます。
幼児教育では、子どもの自主性を育てることを大切にするべきです。親の意思に子どもを巻き込むのはできる限り避けましょう。子どもたちは自分が関心があることはどんどん学びますが、無理やりさせられたことはなかなか身につきません。
大切なのは、子ども自身がすることに興味関心を持っていることです。そのため、まずはよく子どもを観察し、何に興味を持っているのか、何がしたいのかを理解してあげるように心がけると良いでしょう。
幼児教育にはさまざまな手法があり、それぞれに特色があります。大切なのは先を見すえたうえで、自身の子どもに合った方法で能力を引き出してあげることです。人格形成や学習の土台を築く大切な時期を有効活用して、その後の人生の備えがしっかりできるようにサポートしてあげましょう。
幼児教育では、親子が一丸となって一緒に取り組むことも大切です。保育園や幼児教室などの施設だけでなく、家庭ですごす中でも子どもは自然にたくさんのことを学んでいます。絵本の読み聞かせやお絵かき、ボール遊びなども立派な幼児教育です。お片付けなどの簡単なお手伝いを頼むのも良いでしょう。
「教育」というとそれを受ける子どもに焦点があたりがちですが、親子で一緒に学ぼうとする姿勢が重要です。一緒に取り組むことで子どもはより楽しさや喜びを感じますし、親から褒められる経験は関心事を増やしたり意欲を高めたりすることにもつながるでしょう。
さて、ここからは幼児教育のなかでも、特に英語学習の現状や是非について見ていきましょう。
幼児の英語教育には様々な意見がありますが、確実にいえることとして2020年度より小学校3・4年から英語が「外国語活動」となり、小学校5・6年からは英語が「教科」として授業がおこなわれています。
平成23年度より小学校において新学習指導要領が全面実施され、第5・第6学年で年間35単位時間の「外国語活動」が必修化されました。
外国語活動においては、音声を中心に外国語に慣れ親しませる活動を通じて、言語や文化について体験的に理解を深めるとともに、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、コミュニケーション能力の素地を養うことを目標として様々な活動をおこないます。
このように2011年からすでに小学校での英語学習は少しずつおこなわれていましたが、2020年より小学校3・4年から英語が外国語活動となり、小学校5・6年からは教科としての授業が始まり、より一層英語の早期学習の必要性が叫ばれるようになっているのが現状です。
義務教育としての英語の早期開始化にともない、幼少期から英語にふれあう機会を増やしてあげようと考える親御さんが増えるのも当然のことでしょう。
では、早期の英語教育のメリットはどこにあるのでしょうか? 特にいわれる事としては、いわゆる「英語耳」の育成のためには英語の早期教育が有効、という事です。
一般的に言語の習得には「臨界期」があるといわれており、英語学習が遅くなればなるほど第2言語としての英語の習得は非常に難しくなります。
特に「発音の聞き分け」という点でいうと、例えば【rとlの発音】【子音で終わる単語】の聞き分けといった日本人が慣れていない音に対しては、早期の英語教育が大切になってきます。
そもそも日本語と英語は使用する周波数帯が異なり、幼少期に英語に触れたことのない日本人にとっては英語の音を聞き取ることは非常に難しいものです。
このように「英語」特有の発音を聞き分けることができる能力を「英語耳」と呼び、この能力は大人になってからでは身につけるのが難しいそうです。
人が他人に対して抱く偏見や差別というものは、意識してするものだけでなく無意識の内にしているものが非常に多いものです。そのような潜在的な感覚は幼少の頃の経験などに左右される部分も大きく、この時期に受ける教育や経験は非常に大切です。
日本という国は「外国」ひいては「世界」というものに接する機会が少なく、意識して行動することがなければただ狭い常識の中で狭い視野を持ったまま生きることになりがちです。
意識や感覚が凝り固まってしまう前に、英語という言語を通してそのバックグラウンドを感じ、学び、理解することによって、自然と多様性への寛容力を持てるようになります。
ここまでは早期の英語教育(幼児の英語教育)のメリットについて見てきましたが、一方で考えられるデメリットとしては以下のようなものがあります。
メリットとデメリットを理解した上で、幼児の英語教育について考えていきましょう。
子どもに英語を早くから触れさせるために、圧倒的に英語の影響を強く受ける環境下で子どもを育てていく場合、母語である日本語を伸ばしきれないと母語も第二言語も「日常会話言語」レベルに止まり、「教科理解言語」の運用に問題がある状態になってしまう事があります。この状態を「セミリンガル」と呼びます。
言語というのは、論理的に思考するうえでの大切な基盤ともなるため、2つの言語が共に未熟だと、せっかく2か国語でコミュニケーションが取れても今後の人生において論理的思考力が未発達のままとなってしまいます。
これは、無計画にただ単に英語学習の時間を増やし、子どもに混乱を招くような英語への触れ方、日本語の学習をおろそかにするなどして起こりうる問題で、注意が必要です。
では、英語の早期教育をおこなうにあたって、親御さんはどのような姿勢で子どもの英語教育にあたるべきでしょうか。
子どもによりよい経験をさせてあげられるよう親が導いてあげたり、機会を与えてあげたりというサポートも大切ですが、強要することで子ども自身が負担に感じたりしないような工夫が必要です。子どもに過度なプレッシャーを与えてしまうことで、英語を嫌いになってしまったら元も子もありません。
幼児教育はあくまでも子どもの自主性にもとづいた学習であることが大切です。
なるべく楽しく、みずから英語を聞いたり話したりできるように子どもを促してあげる事が早期の英語教育には重要です。
幼児の英語教育においては、教科書やワークブックに向かう座学を中心でおこなうよりも、子どもと一緒にパパ・ママも英語を学んでいく姿勢が必要となります。
英語のバックグラウンドがない親が子どもに対して不完全な英語を話すことは、長い目で見れば逆効果となる可能性があり、慎重に考える必要があるといわれています。
とはいえ、一緒に過ごす時間のもっとも多い親御さん自身が英語を勉強して、家族で英語に触れる時間を増やす、一緒に英語学習を楽しむということを実践してみるのもよいのではないでしょうか。
親子で楽しみながら、子どもの自主的、積極的な英語への姿勢を引き出してあげる事は、子どもの英語の生涯学習の大きな一歩になるはずです。
語学は他の学習とは異なり、学習のタイミングが重要となりますので、幼児の英語教育を慎重に検討しつつも、先延ばしにしてしまうとせっかくのバイリンガルになれるチャンスを逃してしまう可能性もあります。
英語を学習すると、日本語と英語の違いに対して敏感になり、日本語をより意識するようになります。英語を勉強することにより、日本語に対してのアプローチ、そして多言語学習におけるアプローチも代わり、相乗効果も期待できます。
日本人としての良さ、日本的教育の良い点・悪い点をともに理解し、与えられる教育は、子どもにとって明るい未来を切り拓いてくれる基礎となります。
今はまだ必要ないかもしれませんが、ここ10年における日本の状況の変化を考えれば、子ども達が主役となる20年後、30年後、40年後の世界では、英語を話すことが当たり前になる可能性は高いと思われます。
生活や仕事の環境が激変していくこれからの世界では、新たな分野への挑戦心や対応力、自主性・創造性といったものが非常に求められるようになるでしょう。
新しい物を学ぼう・取り入れようとする姿勢を持つための英語、好奇心を持ち新しい物を取り入れる際のツールとしての英語、単純にコミュニケーションとしての英語…。
あらゆる面で英語が話せないことが大きな足かせとなる時代が来るかもしれません。
子どもの将来の選択肢を確保するためにも、ぜひとも早期の英語教育を検討してみましょう!
子育てママを元気に応援★ 2週間に1回、ベビーパークの教室で教えてもらえる育児方法をお届けしています。
カテゴリ>幼児教育