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子どもの気持ちを理解するために~チャイルド・インフォ―メーションを感知する技術~

リーフ

子どもの気持ちを理解するために~チャイルド・インフォ―メーションを感知する技術~

No.107更新日付:2023年2月6日

子どもの気持ちを理解するために~チャイルド・インフォ―メーションを感知する技術~

子どもの気持ちを理解することは簡単なようでいて難しいものです。親御さんの中には、特にイヤイヤ期など子どもが何を考えているかわからない…、といった気持ちになる方も多いと思います。

こちらのコラムでは、子どもの気持ちを理解するため「チャイルド・インフォメーション」のつかみ方について、基本的な心構えや、子どもの年齢別の対応法などをまとめています。子どもが大人になっていくまでの間、ずっと使える考え方ですので、ぜひ早い段階で習得してみてくださいね。

適切な育児を実践するには子どもの気持ちを感知できる技術が必要

より良い育児のために最も重要なスキルは「子どもからの情報を少しでも多く正確にキャッチすること」だとベビーパークでは考えます。

コラムNo.56【「泣く」という大切なメッセージを正しく受け止めよう】では、泣くことはとても重要なメッセージだとお伝えしました。泣くという行為は子どもから発信される能動的・積極的な情報ですので非常にキャッチしやすいですし、「子どもからの情報をキャッチする練習」としては比較的簡単です。今回はさらにステップアップして「能動的に発信されないわずかな情報」をキャッチするスキルを身に付けていきましょう。

子どもの気持ちをつかむ能力アップのための2つのアプローチ

どのような物事においてもそうですが、何かに対してこうあって欲しいと願う時には、その対象に対して自分がはたらきかける必要があります。

料理を例にとると、例えば美味しい料理の作り方にも二つのアプローチ方法があり、一つはその日の材料の特徴に合わせて塩加減や火加減、材料の取り合わせを工夫し「常に一定目的の味を作り上げる方法」。これはいってみれば「料理人の意思に材料を従わせる」という手法といえます。

もう一つはその日に出会った素材を主役とし「常に素材に合わせて、素材の持ち味を最も引き出す方法」。どちらの方法でもかなり美味しい料理が作れそうですが、より豊かな味を求めるなら力わざで材料をねじ伏せる方法よりも、材料との対話を通してその持ち味がもっとも活きるように手をかけてあげるほうが高度ではないでしょうか。

子どもと向き合い「子どもの持ち味を活かすこと」を意識する

育児もこれと同じことが言えます。親が高い理想を持ち、子どもがその理想通り育つようにと学習を強いることでも、子どもの能力はある程度高まります。しかし、もっと優れた方法は「常に子どもと向き合うことを大切にし」「子どもの持ち味を活かすこと」を最大限尊重することです。

子どもの能力を引き出してあげたいならば、まずは「十分な時間、子どもと真剣に向き合う」ことがとても重要なのです。

子どもと向き合い「子どもの持ち味を活かすこと」を意識する

子どもの気持ちを感じ取るヒント「チャイルド・インフォメーション 」

どのような物事でも何かをなしたい時に最も重要なのは「対象との対話」です。料理ならば「素材との対話」。味や香り、固さ・柔らかさなどを五感をフルに使って感じ取ることで、よりよい料理が創造できます。

そして、育児において肝心なのは「子どもとの対話」です。しかし、ここでお伝えしたいのは「言葉での対話」ではありません。先述の料理でも、野菜や魚は言葉を話さないので、自分の方から味や固さを教えてはくれませんね。こちらが自ら主体的に「感じ取ろう」とする意思を持ち、自分の神経を鋭敏に研ぎ澄ませて「情報をキャッチしよう」としない限りは感じ取ることができないのです。

小さい子どもも同じ事です。子どもが今何を感じているのか、何を考えているのか、何をしたいのかという情報は、話しかけてきたり、泣いたり、袖を引いたりというアクションを待っているだけでは不十分なのです。

ここでは、子どもが両親にわざわざ伝えようとはしていない情報を、鋭敏に意識的に数多くキャッチしようとすることを「子どもとの対話」と呼びます。そして、子どもが特別に発信しようとは思っていないけど、育児のための貴重な情報になる事柄をベビーパークでは「チャイルド・インフォメーション」と呼んでいます。

「チャイルド・インフォメーション」をキャッチする方法

一番の基本は「観察」です。実は、乳幼児教育を最も効果的におこなうために最初にしなければならない重要なことは、親からの能動的なはたらきかけや、絵本、ベビーマッサージなどよりも、「こどもからの情報をキャッチしようとつとめること」なのです。

はたらきかけはその次のステップです。とはいえ、この「チャイルド・インフォメーション・キャッチ」のスキルは一朝一夕に身につくものではないので、日々研鑽を積み重ねつつ同時進行ではたらきかけを行っていくことが望ましいでしょう。

そしてただ漫然と観察せず、子どもが「何をみつめ、何をしたいと思っているか」を常に考え、既習の知識・経験を常に把握しておくというポイントを心に留めて、「観察」を続けてみてください。

「チャイルド・インフォメーション」をキャッチする方法

「観察」と「推理」が大切

それはつまり、「観察」と同時に「推理」が非常に大切になってくるということです。正確な情報が多ければ多いほど正確な推理ができますし、情報が不足していればその推理は完全に的外れになってしまうものです。

子どもが「何を見ているのか」「何を聞いているのか」「何を考えているのか」「何をしたいのか」「何をすでに知っているのか」「何をまだ知らないのか」「何がまだできないのか」「何がすでにできるのか」の情報が、より多く、より正確になることで、適切なタイミングでの最も効果的なはたらきかけが可能になるのです。そこを無視して「○歳○ヵ月だから、この取り組みをすればいいわね」と考えるだけでは、レシピ以上の育児はできないのです。

「チャイルド・インフォメーション・キャッチ」の副次的効果

「言葉を介さない子どもとの対話」を重視し、少しでも多くの正確な情報をキャッチしてあげようという意欲が両親の中で高まり、「観察」&「推理」の実践が増えてくると、もう一つとても良い副次的効果が得られます。

子どもを叱らなくなる

それは「子どもを叱らなくなる」ということです。人間には、「わかっていることと実践することとは違う」「知ることは容易でも、行動を継続することは困難」という特性の真理があります。

ですので、子どもに良い習慣を育てたい時、「叱る」という手法を用いない方が効果的だと分かっていても、「それがなかなかできない。どうしてもついつい叱ってしまう」という場面もあって当然なのです。つい叱ってしまうという時は「どうしてできないの!」または「どうしてこんな事をするの!」という感情が心を支配しているものです。

子どもを叱らなくなる

ところがチャイルド・インフォメーションを積極的にキャッチしようという姿勢が身につくと、同様の場面でも「どうしてこの子はやらないのだろう?」「どうしてまだできないのだろう。何が不足しているのだろう?」「どうしてこんな事をしたのだろう。これは何かやりかけた際に失敗してトラブルになったのだろうが、この子が本当にやりたかったことは何だろう?また、その動機は何だろう」と、情報を少しでも多く収集し、正確に推理しよう、という反応が基本スタイルになるのです。

「心の習慣」が変容するとも言い換えられます。そうなると、怒りという原始感情が顔を出す前に、理性的な大脳新皮質が「我が子の心理情報を集め、推理し、理解・共感してあげよう」というはたらきをおこなうようになるのです。この良い習慣は今後20年前後におよぶ育児期間において、子どもの優れた人格を育むためのすばらしい道具となっていくはずです。

「言葉の表面」に惑わされなくなる

子どもがまだ満足に母国語を操れない0~2歳期に、両親がチャイルド・インフォメーション・キャッチの習慣を身につけることで何より大きいのは、「言葉に惑わされない能力」が向上することです。

「言葉」は人と人の心をつなぐ大変すばらしいツールではありますが、その反面「多くの人々が考えているほど完成されたツールではない」という事を再認識することも重要です。その事が世の中ではあまり深く認識されず、「言葉」の力を過信しがちな傾向が強いために、「言葉」による誤解やトラブル、ケンカ、仲違いが後を絶たないといえるでしょう。

人間の心は非常に複雑です。感情が高ぶれば心にもない言葉を言ってしまったり、本当は思っていないのに売り言葉に買い言葉で失言したり、損得勘定がはたらいて本音と違うことを言ってみたりなど、「表情と本心・態度と言葉が一致しない」という事はひんぱんにあります。

これは幼児から小学生、そして中学生・高校生と成長すればするほど、余計に複雑になってきます。そんな時、怒る前に「どうしてこの子はこんな言葉を言ったのだろう?本心はどうなのだろう?」と考える思考習慣が定着していると、適切で効果的な問題解決法が得られやすいのです。

ぜひ、子どもの言葉がまだ未熟で、表面上の言葉に惑わされにくいうちに「チャイルド・インフォメーション・キャッチ力」を身に付けられるとよいですね。

「チャイルド・インフォメーション・キャッチ」の練習をしよう

連続した1時間でなくて構いませんので、1日のトータルが1時間程度になるように、ワーキングマザーの方は30分でもチャレンジしてみましょう。とにかく、お子さんの一挙手一投足に気を配り「何を見ているか」「何を聞いているか」「何がしたいのか」を敏感に察知したり推理してみましょう。表面的な行動に惑わされず「本当は何をしたかったのか」を正確に推理できるよう、子どもからのインフォメーションを数多くキャッチしてあげてください。

「チャイルド・インフォメーション・キャッチ」の練習をしよう

0歳8ヵ月ごろまで

0歳8ヵ月ごろまでは、「積極的なメッセージ」の表現が小さいので気付きにくいですが、「インフォメーション」ならば、一日中眺めていても飽きないくらいたくさんキャッチできるはずです。お母さんが疲れないようほどほどに休息を取ってくださいね。

0歳9ヵ月~1歳10ヵ月ごろ

0歳9ヵ月~1歳10ヵ月ごろは、3歳までの期間の中で「チャイルド・インフォメーション・」キャッチ」が一番簡単な時期です。よく観察しているだけで、ほとんどの思考や欲求は理解できるようになるでしょう。

1歳11ヵ月~3歳0ヵ月ごろ

1歳11ヵ月~3歳0ヵ月ごろは、言葉や態度が「本当にやりたかったこと」とズレを生じる場合もある段階にまで成長してきて、「イヤイヤ期」に直面しているご家庭もあるでしょう。言語発達の早い子どもだとそれ以前の月齢でもありえます。

インフォメーションのキャッチは少し高度になりますが、表面的な「イヤ!」に惑わされず、「『イヤ!』の裏側にある本当に伝えたい本心を正確に推理してあげよう」と考えてみてください。

両親がそのように心がけているだけで、イヤイヤ期脱出の時期は格段に早まりますし、両親のインフォメーション・キャッチ力も短期間で飛躍的に向上できます。俗に「魔の2歳児」といわれる大変な時期ですが、それを育児力アップのチャンスに変えていきましょう。

まとめ:子どもの気持ちを感じ取れるように「観察」「推理」を習慣づけよう

いかがでしたでしょうか?

子どもをよりよく育てたいと思ったら、いかにその時の感情だけに支配されず、子どもの様子を「観察」し、気持ちを「推理」することが大切かおわかりいただけたかと思います。

なるべく多くの「チャイルド・インフォメーション」を感知する習慣をつけて、ぜひ叱らない育児の実践につなげてみてくださいね。

まとめ:子どもの気持ちを感じ取れるように「観察」「推理」を習慣づけよう

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