1歳児の言葉の発達はどのくらい?親ができることはある?

No.24更新日付:2023年1月13日
子どもが1歳になり、ひとり歩きはできるようになったけど、今度は「言葉が少ない」と親の悩みは尽きないもの。1歳児は発達のスピードも早く、早い子なら2~3語の言葉を話す時期です。
しかし、言葉の発達は個人差も大きく、おしゃべりできないからといって問題があるとは限りません。今回は、1歳児の言葉の発達と、言葉が出ない子に親ができることを解説します。言葉の発達に不安を持っている人はぜひ参考にしてみてください。
1歳児の言葉・体・コミュニケーションの発達目安をそれぞれ解説します。
同じ1歳でも、1歳になりたての子と2歳近い子では言葉の発達に大きな違いがあります。言葉の発達目安を大まかな時期に分けて解説します。
1歳半ぐらいまでは単語ではなく、喃語(なんご)で話すことが一般的です。
喃語とは、「あーあー」「うーうー」など赤ちゃんが発する音の繰り返しを指します。生後半年くらいから喃語を話し始め、単語を発声できるようになるまで続きます。
聞き手には意味のない言葉に聞こえても、発声の練習として今後の言葉の発達に欠かせない行動です。笑顔で喃語を話すこともあり、赤ちゃんにとって周囲の人とコミュニケーションを取る練習のような役割をしていると考えられています。
1歳半くらいからは、「ママ」「パパ」「ワンワン」などの単語で話すようになります。厚生労働省の乳幼児身体発育調査では、1語以上の単語を話す1歳6~7カ月の乳幼児は94.1%を占めています。[注1]
ただし、言葉の発達には個人差があるため、1歳半を過ぎても言葉の出ない子どももいます。言葉は出なくても、頷きや首振りなど身振りで感情を表せれば問題ありません。
[注1]厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査:調査の結果」
1歳の終わり頃からは、2~3語の単語を使って話し始めます。
「まんま、たべる」「ママ、だっこ」と複数の単語を組み合わせて、次第に長い文章を話すようになります。周囲とコミュニケーションを取りやすくなり、意思を伝えるのがうまくなる時期です。
2~3語を使って話せる子がいる一方、まだ言葉が出ない子もいるため、個人差を感じやすい時期でもあります。親は周囲と比べて焦りを感じるかもしれませんが、話しかけて意味を分かっているようなら言葉が出なくてもあせる必要はありません。子ども自身も言葉にできず、いらだちを感じている場合もあるため、じっくり焦らず待ってあげることが大切です。
1歳児は言葉の発達だけでなく、身体機能も大きく成長します。
厚生労働省の調査では、1歳4~5カ月までにほぼ100%の子が物につかまらずに2~3歩歩く、いわゆるひとり歩きができるようになっています。 [注2]
また、指先が発達して物をつかむのがうまくなるため、小さいものを拾ったりつまんだりする動作ができるようになります。そのため、誤食・誤飲が起きやすく、家の中や遊び場では注意が必要です。
[注2]厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査:調査の結果」
1歳は、言葉が出ない子でも言葉の意味を理解し始める時期です。「○○を持ってきて」「バイバイして」と話しかけると、物を取ってきたり手を振ったりできるようになります。
また、話しかけるとうなずく・首を振るなど、コミュニケーションの基盤ができ始めます。
1歳を過ぎて周囲の子が話し始めると、「うちの子は言葉が遅いかも……」とあせるかもしれません。
言葉が出ない場合、どのように対処すればよいかを解説します。
1歳児は、言語機能や身体機能が大きく発達する時期です。
おしゃべりが得意な子もいれば、体を動かすのが得意な子もいるように、周囲の子よりも言葉が遅いケースも多々あります。
1歳半前の子なら、言葉に反応して表情が変化し、頷きや首振りが見られれば特別言葉が遅いとは限りません。また1歳後半の場合は、「○○ちょうだい」などと話しかけ、意味を理解しているようなら心配する必要はないでしょう。
個人差を理解し、子どもが自発的に言葉を発するまでじっくりと待つことが大切です。
言葉の発達には、以下の機能が発達している必要があります。
●言葉を聞き分ける聴覚
●言葉の意味を理解する知能
●言葉を発するための発声機能
●言葉を話したい意欲
言葉の発達が遅いと感じる場合には、いずれかの機能が未発達の可能性があります。その場合は病院へ相談することも考えたほうが良いでしょう。
とはいえ、聴覚・知能・発声機能に問題がなくても、言葉を話したい気持ちがなければ言葉の発達は起こりません。気持ちは周囲の人がコントロールできるものではないため、子どもが話したいと思うまで気長に待つ必要があります。
1歳過ぎても言葉が出ない場合、じっくり待つのも大切ですが、自然に言葉が出てくる環境を整えてあげることも重要です。
ここでは、子どもの言葉が出ないときに親ができることを紹介します。
言葉の発達は、多くの言葉に触れることが大切です。
普段から子どもにたくさん話しかけると、自然に言葉が出てくるきっかけになります。子どもが笑ったり、近寄ってきたりしたときに「○○ちゃん楽しいね」「抱っこしてほしいのかな?」などと話しかけてみましょう。
子どもが話すことに興味ない場合、なかなかおしゃべりが始まらないケースもあります。その場合は、遊びを通して言葉を教える方法もおすすめです。
音の出る絵本や子ども向けの歌を聞かせて、親も一緒に話したり歌ったりしましょう。2つのおもちゃを見せて、「どっちが好き?」と聞くだけでも子どもが反応するきっかけになります。
ただし、子どもが話さなくてもがっかりしないことが重要です。親の期待を感じて緊張したり、期待に応えられずに落ち込んだりする可能性があります。言葉が出なくても、反応があればよいと考えて取り組みましょう。
言葉が出ない子どもに親が働きかけるときは、工夫した話しかけをしてみましょう。例えば、ゆっくり大きめの声で話したり、オノマトペを利用したりするのがおすすめです。
オノマトペとは、音を言葉にした擬音語のことです。風が吹く音を「ビュービュー」、犬の鳴き声を「ワンワン」と表現する言葉を指します。感覚的な言葉のため、1歳の幼児でも話しやすいのが特徴です。幼児期の言葉の発達にも大きく関与していると考えられており、言葉を話すときに必要な動詞・形容詞の習得に役立ちます。
話しかけるのが照れくさかったり、どのようなことを話しかければよいか分からなかったりするときは、絵本の読み聞かせも有効です。
子どもが興味を持つように、仕掛け絵本やイラストのはっきりした絵本を選びましょう。幼い頃から言葉に触れる機会を作ると、言葉が出やすくなります。
子どもに一方的に話しかけてばかりいると、自分から話しかけてくることが少なくなってしまう場合があります。先回りして矢継ぎ早に話しかけていると、子どもは自分が言葉を発さずとも要求が通ってしまうと感じてしまうことがあるため、注意しましょう。
親が子どもに話しかける理由として、言語習得の臨界期が挙げられます。
言語習得の臨界期とは、人が言語を習得するうえで適した時期を指します。一般的に言語習得における臨界期は生後6ヶ月ごろから10~12歳ごろまでとされています。そのため、早いうちからさまざまな言葉に触れることで、効率的な言語習得が期待できます。
子どもは3歳ごろまで、さまざまな言語を聞き分けられるといわれています。一方、3歳ごろを過ぎるとそれまで耳にしてこなかった響きの言語に対する聞き分けが難しくなるとされています。
1歳の子どもは、喃語から1つの単語を話すようになる時期です。言葉の早い子では、1歳の終わりには2~3語を話す場合もあります。
子どもがなかなか話さないと感じる場合は、自然に言葉が出てくる環境を整えてあげるのも一つの手です。子どもの動きに合わせて話しかけたり、遊びを通して言葉を教えたり、絵本の読み聞かせを通して言葉に触れる機会を作ったりすると良いでしょう。
また、話しかけ方を工夫することも大切です。「わんわん」「ビュービュー」「もぐもぐ」などのオノマトペは発音しやすく、動作と連動していることから、子どもの発語を促すのにぴったりです。
言葉の発達は個人差があるため、まったく言葉が出ない場合でもあせる必要はありません。話しかけに反応し意味を理解しているようなら、じっくり待ってみましょう。
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カテゴリ>1歳~3歳の育児